こどもでもわかるはなし

小林タクシーのブログ

万国の万国による闘争

日本の島々のちかくを 中国の軍艦が通り大騒ぎになってます。

「このままいくと日中の武力衝突は時間の問題かもしれない」

この危機に際して、 となりの国の横暴におびえる大人は、 アメリカ軍基地の駐留に反対と叫んできたひとびとを 「馬鹿か」と罵り、 SEALDsの若者に対しては 今すぐ船にでも話し合いにいってきてくださいよと あらん限りの皮肉をこめてこれまでのみずからの言説を正当化しています。

(危機だというのに彼らが興奮したようにみえるのは気のせいでしょうか?)

「米軍基地反対の反対」を主張する彼らにとって、 日米同盟こそは命です。 中国の脅威をしりぞけるには アメリカ軍の協力はなくてはなりません。

中国が軍艦で威嚇してくるなら、 きっとアメリカの軍艦でもって威嚇返しをするでしょう。 威嚇に威嚇でかえすなんて、なんだかヤクザの世界みたいですね。 でもこの「警察のいない無法者の街」である世界では、 ヤクザくらいしか頼れるものはいないのかもしれません・・・。

このブログでのくりかえしになりますが、 日本くんやアメリカくんや中国くんが住むこの世界には警察がいません。 一時期アメリカくんが 世界の警察官ぶっていた時期がありますが、 僕はいまもむかしもアメリカ軍が 警察官だなどとは思っていません。 どちらかというとヤクザみたいだなって思ってます。 ついでに言うとすべての軍隊はヤクザみたいなものだと思ってます。

「は?」と思われるかもしれません。 軍隊も警察も国家公務員です。 同じように制服を着て仕事をしています。 感覚的には警察のほうが近い気がします。 でも、それは感覚だと思います。

軍隊と警察の一番の違い、それは

自分以外の暴力を認めず、 自分以外に暴力をふるったものを犯罪者としてとりしまることができる

ということです。 できるのが警察。 できないのは軍隊。

※逮捕したり、身柄を拘束したりする力を広義の暴力といいます。

国境という境界線のなかで、 唯一暴力を振るうことが許され、 唯一武器の所持を許されている警察は、 自分以外の暴力の存在を絶対に認めません。 それを認めてしまったら自らの存在意義が問われてしまうからです。 ときには冤罪事件がおこってしまうほど、 彼らが殺人事件の犯人を執拗に追うのはそのためです。 彼らのそのような一方的な暴力はまた法によって認められています。 日本は法治国家ですが、 法がまもられなかったときに発動するのは警察の暴力です。 その意味で私たちの国は、暴力によって守られているとも言えます。

軍隊は持っている武器こそ警察よりも強力ですが、 そんなふうに一方的に自分の側を合法・敵の側を違法と 決めつける力はありません。 もちろん戦争をやってる当人は 自分の側が正義だと思って戦争をはじめます。 しかし相手も正義を名乗ります。 どちらが正しいかはさておき、生まれる関係性としてはイーブンです。 警察のように一方的に合法的なものが 非合法な相手を組み伏せるという図式にはならないのです。

この一方的暴力で社会をまもる、という発想を理論的に体系立てたのは 17世紀イギリスの政治的学者・ホッブズです。 彼の有名なことば「万人の万人による闘争」は、 絶対的なちからを持つものがいない世の中では すべてのものがすべてのものと自力で戦わねばならないため 混乱した悲惨な社会が訪れることを示しています。 たとえ最強のものであっても 寝首をかかれる恐怖におびえなければならない。 その悲惨な状況を脱するには、ひとびとが少しずつ暴力の権利を手放し、 それを国家という圧倒的な暴力の源泉にゆだねることで 平和をたもつことができる。 彼はそう考えました。

彼の目論見は17世紀絶対王政の時代以降も脈々と受け継がれ、 いまの警察システムのようなものができあがっていくのですが、 一方で「暴力の権利」という餌をあたえられて 肥大化した国家という名の化け物(リヴァイアサン)は 国家同士で殺し合いをはじめます。 「万国の万国による闘争」です。

この状況をおさめるにはどうしたらいいか?

僕はホッブズ方式をもう一回やったらいいと思うんです。 国民からちょっとずつ暴力の権利をうばってリヴァイアサンをつくったように 国家からちょっとずつ戦争の権利をうばって国家に対してのリヴァイアサンをつくる。

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そんな巨大な暴力があらわれたら不安に思われるかもしれませんが、 対抗馬のいない唯一合法の巨大暴力として警察が君臨している日本社会は 安全にまわっているように見えます。

武器はいらない、軍隊はいらないと思うひとは多いけれど、警察もいらないと思うひとはあまりいないんじゃないでしょうか。

視点を大きく持って、 自国の安全だけじゃなく世界みんなにとっての安全を考えたら ここにいくんじゃないかと僕は思います。

なのでヤクザにショバ代はらってまもってもらうみたいな日米同盟は嫌だなとおもうし 自分で武器をもってたたかうというのも違うなとおもいます。 たたかうまえに110番して警察呼べるのが一番いいんじゃないかとおもいます。 警察いない無法地帯で念仏のように戦争反対をとなえるのもいやです。 ちゃんと法治国家というか法治世界(?)であってほしい。

みなさんはどうでしょうか?